【内山竣太選手 寄稿】幸せなのは人間だけじゃない。犬にも優しい国フィンランド

【内山竣太選手 寄稿】幸せなのは人間だけじゃない。犬にも優しい国フィンランド
本人提供

フィンランドの幸福度が高いことは世界的に見ても有名で、日本人からの注目度も日々高まっているのを実感しています。

しかし、実はフィンランドにて幸せを実感しながら生活している生き物は我々人間だけではなく、一番身近で生活を共にしている犬たちにとっても、とても自由で暮らしやすい国になっています。(もちろん犬に聞けるわけではないが、そう見える。日本と比較したときにそう感じることが多い。というような事実から)

現在私たち夫婦も2匹の犬とともに生活していますが、彼らを中心に生活が回っているといっても過言ではありません。

今回は、実際にフィンランドにて犬たちを取り巻く環境がどんなものなのか、身の回りにある何気ない犬ファーストの優しい仕組みや日本との違いなどを紹介したいと思います。

過去に私が飼っている犬たちとの何気ない犬との日常の様子についても note を書いているので興味のある方はこちらもご覧ください。

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日本・フィンランドの飼い犬数の比較

まず初めに日本とフィンランドの人口当たりの飼い犬数を比較してみます。

         フィンランド   日本
総人口      約550~560万人 約1.23~1.24億人
犬の推定飼育頭数 約800,000頭    約6,840,000頭
人口比の飼育頭数 14.3頭/100人   5.5頭/100人

chat gptより

上記のデータにもあるように、フィンランドの人口当たりの犬の飼育数は日本の約3倍で、日本よりも犬が身近な存在となっていることが分かります。

日本では近年猫人気が高まっており、犬よりも増加傾向にあると言われていますが、フィンランドでは現在でも犬が最も多く飼われているペットです。

家庭内ではケージを使用しない

フィンランドでは動物保護や自由を尊重するという観点から、基本的にケージのようなものは使いません。そのため、犬たちは人間と同じく家の中を四六時中自由に動き回っています。

私が妻と出会った頃、すでに大人だった妻の飼い犬たちはもちろん、子犬でも基本的にケージは使用しないとのことです。

そのため、しつけも何もない、生まれたばかりの頃は毎日狂ったように暴れまわっていたそうです。妻曰くそれも犬たちの権利なわけで、人間の好き勝手に楽をするために彼らをケージで管理することは、彼らの自由を奪うという観点から妻はしてこなかったそうです。

病気やケガ、幼少期に一時的にケージにて飼うケースもまれにあるそうですが、その場合も犬のサイズによってケージ、又は檻などで囲むサイズ規定があるらしく、なるべく犬に負担にならないような工夫がされています。

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こんな感じで日々好きなところで眠るロキ
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リロは自前のベットで毎晩眠る

無料のドッグパークが至る所に

自然が豊かなフィンランドでは、至る所に芝生や砂のドッグパークが存在しています。それも基本的に無料で24時間使用することができます。

北海道の田舎出身の私ですが、そんな日本有数の自然あふれるエリアでも、ドッグパークは見たことがありませんでした。

一方、フィンランドでは現在住んでいる首都ヘルシンキですら、シティーセンターのど真ん中を除けばどこでも簡単に見つけられます。実際に去年私が住んでいたアパートからは徒歩で5分程度、現在住んでるアパートからも徒歩7分程度で広々とした無料のドッグパークがあり、日々多くの犬が利用しています。

私たちの犬はすでに13歳・12歳と老犬の域に入っており、週1回程度ドッグパーク内で走り回り、それ以外の日はのんびり散歩をしているといった様子ですが、若いころは毎日のように走り回っていたと聞いています。

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近所の無料ドッグパークで遊ぶロキ
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臭いを嗅ぎ回り時折りスプリントをするリロ
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満足げな顔
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一度訪れた有料ドッグパークではBBQや焚き火、ブルベーリー狩りなども犬と楽しめた

ペットショップが存在しない

フィンランドには日本に存在するようなペットショップが存在しません。
その代わり、犬を購入したい場合はブリーダーと言われる飼育のプロフェッショナルとのやり取りが必要
になります。

その理由はとてもシンプルで、ペットショップのような小さな息苦しいスペースで犬を管理することが犬への権利侵害に当たり、幸せからかけ離れてしまうと考えられているからです。

実際にフィンランドでブリーダーになるためには、様々な飼育環境の基準を満たし、親犬や生まれてくる子犬の情報登録、Kennelliitto(フィンランド犬籍登録協会)への加入などが義務化されています。

また、子犬が産まれた後には、獣医にてのワクチン接種と、情報管理のため体内に小さなマイクロチップを入れることなども義務化されており、お金も手間もかかります。

実際に私たちが犬を飼いたい!となった場合、犬種やエリアからブリーダーを検索し彼らとその場にいる犬に会いに行きます。その際に実際の居住環境を視察できるので、犬がどのような環境で生活し、どのような健康状態なのかも全て知ることができます。それらを踏まえて購入の判断ができるのです。

もちろんブリーダー達は、日々のエサ代やその他飼育に関わる費用のすべてを自費で賄っています。そのため、犬をなるべく良い値段で売りたいというのが本心でしょう。しかし、実際に居住環境から全てを見られ購入の判断をされるため、犬にとってなるべくストレスのない、キレイで暮らしやすい環境での飼育が必須となってくるのです。

この仕組みも日本とは大きく異なる面白い部分の一つです。

どこでも犬と一緒

日本からフィンランドを訪れた際に驚く光景の一つとして、電車やバスといった公共交通機関を始め、カフェやショッピングモールでも犬が一緒にいる様子が挙げられるでしょう。

日本では犬とともに行動できる範囲がかなり限られています。しかしフィンランドでは犬も社会の一部だという認識が強く、多くの場所に犬とともに訪れることができます。

私たちも定期的に電車やバスを犬たちと利用し、先日図書館にも一緒に訪れました。妻に聞いてみたところ、レストランやバー、カフェやセカンドハンドショップ、アウトドアのライブコンサートにも一緒に行ったことがあるそうです。

日本でも犬とともに時間を過ごせる上記のような施設はあると思いますが、その数は圧倒的に少ないでしょう。

犬たちが上記のような場所を訪れて幸せを感じるかどうかはそれぞれ違うと思いますが、我々人間とより密接に、より近い存在として社会を構成している大切な要因だということを日々実感しています。

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近所の図書館へ一緒に行くことも
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バスも
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地下鉄もこんな感じ
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旅に出るときも一緒に行く
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伝統的なサマーコテージへももちろん一緒

自然が豊か過ぎる

フィンランドの幸福度が世界一である大きな要因として、日々のリラックスに欠かすことのできない森や湖、川をはじめとする自然環境ですが、犬を飼う上でも間違いなく大きなポジティブ要素となっています。

その原因は言わずもがなで、犬たちがストレスフリーの長いリールで歩き回れること、時には走り回れること、人里離れたところだと基本的にリールがなくても安心安全であることです。

私たちも森の奥を歩く時にはリールをしないこともしばしばあります。

家の中でも笑顔や幸せそうな様子を見せてくれる彼らですが、森の中での様子を見ると、やはり犬たちも人間と同じく自然から幸せエネルギーをたくさんもらってるんだなと更に感じさせられます。

都市部で生活するよりも、こんな自然環境が身近にある生活のほうが犬たちにとっては間違いなく幸せでしょう。

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晴天の秋空の下での散歩
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夏は海水浴も
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時には魚を食べる
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こんな彼らに癒される日々

まとめ

今回は、幸せなのは人間だけじゃない。犬にも優しい国フィンランドと題し、フィンランドと日本の犬を取り巻く環境の違いやフィンランド独自のシステムについていくつかシェアさせていただきました。

フィンランドに来てからというもの、現在の妻と出会ったのもあり犬と関わる機会が圧倒的に増え、生活の中心に犬がいること、犬を始めとする動物視点で物事を考えることが当たり前になりました。そんな中で、私もフィンランドにおける動物たち権利や尊厳の守られ方などを日々身をもって学んでいるところです。

日本では自宅内飼育や管理の手軽さから小型犬が好まれる傾向があるのに対し、フィンランドでは健康重視の大中型犬や伝統的な狩猟犬が未だに好まれる傾向があるなど、生活に深く密接した面白い違いなどがあったりもします。

フィンランドでは、犬は「飼うもの」ではなく「共に生きる存在」
その自由と尊厳を守る仕組みが、社会全体に根付いているのを実感することができます。

皆さんもフィンランドに来られる際には、そんな動物視点で暮らしやすいフィンランドについて考えてみるのも面白いかもしれません。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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