10月18日のフィンランド2部リーグ最終戦をもって、2025年シーズンは終了しました。今シーズンも遠い日本や世界各地から試合結果などを気にかけてくれていた方々、応援ありがとうございました。
チーム成績は10チーム中5位
(シーズン前に課せられたペナルティ勝ち点-2を加えれば3位)
チームの予算規模など、様々な側面からの評価をするのであれば、概ねうまくいったシーズンだったと言えるでしょう。
しかし、そんなチーム状況を尻目に、個人にフォーカスしてみると文字通り何もせずに終わった、物理的に何もできずに終わったシーズンでした。
今回の note はそんな不完全燃焼すぎた2025年シーズンを様々な感情とともに振り返ってみたいと思います。
今季は、昨年の個人的な手ごたえや過去数年間のフィンランドサッカーの経験などを踏まえ、心身共に充実した良い状態で開幕を迎えられる予定でした。
同時に、年齢的にも28歳を迎えた1年で、サッカー選手でいういわゆる適齢期であり、良いシーズンにすると強く意気込んでいたシーズンでもありました。
しかし結果から先に言うと、滞在許可証、いわゆるビザが発行されず、1試合もプレーできず、約8か月間チームメートとトレーニングのみをし続けるという、謎の1年を送ることになりました。
ことの発端は4月のリーグ開幕を直前に控えたある日で、チームの方から申請中のビザが受理されるまでは試合に出られないと言われたことが始まりでした。
近年、フィンランドでは外国からの不法滞在者や移民者を問題視する声が多く上がっており、その対策への一環として、昨年末に政府は外国人の滞在やビザに関する新法を施行しました。この法律が、今日に至るまで私の生活に影響を及ぼし続けています。
新法が施行される以前の昨シーズンまでは、ビザを申請した段階からアスリート(労働者)として各大会に参加することが許されていました。しかし、今年からはたとえビザの申請を終えていたとしても、実際に移民局からそのビザが受理をされたとの通達があるまでは、一切の労働行為を許さないといったものに変わり、労働行為である公式戦に一切参加が許されなかったということになりました。
私やチームのリサーチ不足と言ってしまえばそれまでなのですが、結局いろいろな手立てで行動を起こしていたものの、全てが時すでに遅しといった感じになり、その影響で今季を棒に振ることになりました。
( 申請しているビザの中には既に法的ルールにのっとり決断を下さなければならないものも含まれていますが、移民局にいくら問い合わせをしても、たくさんの申請者で溢れかえっているため、今回は例外的な対応時間が必要とのこと。この状態がかれこれ3カ月以上続いている。実際に私の周りには、同タイミングや後にビザ申請をしたにもかかわらず、すでに手元にビザが来ている人が国籍問わずいるのが現状で、このやるせない感情を抱えたまま日々移民局からのメールをチェックする日々。 )
本来であれば、シーズン終わりの今期の振り返りをじっくり行いたいとこですが、上記の問題により日々チームメートとトレーニングのみを淡々と送り、公式戦という刺激もない毎日だったので、残念ながら総括も何もないというのがリアルなところです。
もちろん、急にビザが発行され、スターティングイレブンとして試合出場を任された時のための準備は日々欠かさずしていました。
しかし、チームとしてまずまずシーズンを送っていた皆と、試合出場の資格すら無い私の間には間違いなく温度差はあったし、モチベーションにも差はありました。
怒りや憤り、情けなさや悔しさ、将来に対しての強い不安など、自分でも言葉に表すのが難しいたくさんの感情を抱えながら、時間の経過のみをまっていたシーズンになりました。
そんな中でも、日々サッカー外の時間を共にし、気晴らしや何かこのビザ問題を忘れるための時間づくりに日々取り組んでくれていた妻には感謝してもしきれません。
この時間の有り余った機会にと、フィンランド語の個人レッスンも将来のためにと一緒に取り組んでくれています。
7月には結婚式も挙げ、日本から両親が来てくれたり、サッカー外の時間を見てみると幸せで溢れる2025年になっています。
サッカーで苦しんだ一年だからこそ、改めて身の回りにちりばめられている何気ない幸せや大事なものたちに目を向けることができたシーズンになったと感じています。
短めではありますが、2025年シーズンの振り返りはこのくらいで終わります。
シーズンオフは、来シーズンに向けて何かしらのビザをもらえることを強く祈りつつ、この有り余っている時間を有効活用するような日々をフィンランドにて静かに送っていきたいと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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