近頃多くの日本人が旅行又はワーキングホリデーなどの長期滞在にてフィンランドへ来ています。
そして、それぞれが日本とは異なる経験をもとにフィンランドに対して異なる感想や印象を持ちます。
世界一幸福な国と言われるフィンランドですが、実際に長期に渡り住んでみると、決して幸福ではない過酷でつらい側面にも遭遇します。
もちろん、これらはどこの国に住もうとも、どんな仕事をしようとも誰もが必ず乗り越えなければいけない壁でしょう。
しかしそのような中でも、フィンランド人女性と結婚し生活を共にしている私が彼女やフィンランド国民、国全体に抱いてる全体的なぼんやりとしたポジティブな印象として、
多くを望まない、完璧である必要はない、誰かより優れる必要はない
自分軸で学び、能力を伸ばし、あくまで過去の自分から何が成長しているかに焦点を置きます。
もっと簡単な日常生活に落とし込んでみると、日本よりも
~をすることができる。~にチャレンジしたい。私は~の能力に意外に優れているかもしれない。などと思える環境や場面が私の場合日本にいた頃に比べると圧倒的に多いです。
なぜこのような感情を持つことが多いのか。
それは私の身の回りの人たちの性格(つまりフィンランド人の性格)、私に対しての接し方によるものが大きいです。
私の妻はフィンランドの小学校教員で彼女の両親や友人も良い人たちばかりなのですが、日本では気にも留められない些細なことでもとにかく褒め合います。
例えば
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夜ご飯を作ると毎日のように褒めてくれる
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自分では気が付かない英語の些細な上達でも褒めてくれる
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子供の世話がうますぎると褒めてくれる
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めちゃくちゃ下手な絵や作品でも心の底から褒めてくれる
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サッカー素人ながら観客席での褒めの言葉を毎回集めてくれる
などなど、実際にあったことを挙げるとキリがありません。
恐らくこれは私のコミュニティー内だけではなくフィンランド全体でもある程度同じようにみられる現象だと思いますが、日本のような幼少期からの競争社会により他人と比べられる文化がフィンランドには無いことが大きく影響していると私は考えています。
他人よりも優れているから誉めるのではなく、自分が良いと思ったものに対しては素直に良いと伝える。
他人とテストなどで競争することでではなく
自ら学ぶ意欲・成長しようする意欲・自ら学ぶ理由を見つけ人生を豊かに
これらを子供たちに植え付けることを小学校教員の妻は大事にしていると言っていました。
これらの教育方針やフィンランド全体で見られる褒め合い認め合う文化は、日本での競争社会に揉まれ続け、褒められなれてなかった私にとって、初めは違和感まみれでした。
しかし、今は心の中でこそ、まだまだ向上しないといけない・このままじゃだめだと思いつつも、まず初めにありがとうと言えるようにはなりました。
上記のような日常生活を通じ、自己肯定感があがり、自分は何者にならなくても自分らしくいればいいんだという感情になっていくのだろうと日々実感しています。
もちろん、各々が高いモチベーションの下で競争し続けた結果、今の日本の経済力、いくつかのスポーツでは急激にレベルが上がり世界レベルへと駆け上がることができています。
それを踏まえると、競争社会という一つの観点から社会全体の良い悪いを判断することはできず、個人や組織の特性や性格に合わせていくことが重要です。
それぞれバランスよく自分や他者に落とし込んでいくことで、向上心や自分に負けない心を育みつつも、他者と褒め合い認め合い相乗効果でお互いに高め合うことができるでしょう。
おそらくこの文化、社会の風潮のようなものもフィンランドが長い間幸福度ランキング世界一位の理由の一つとされているんだろうなと私は考えています。
フィンランドでの何気ない日常を通じ、これらの心の豊かさと言われる部分も育んでいきます。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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