「忘れることのない試合でした」
前述のJIPPOヨエンスーで今シーズンを過ごし、リーグ戦22試合のうち21試合に出場した渡辺選手。キャリア初の「1ボランチ」に苦戦しつつも、シーズンを通して中枢を担い、チームのリーグ優勝に貢献した。
「外国人選手としてチームを助けるのは変わらないんですけど、チーム全員がプロ契約をしてる訳じゃなくて、その中でプロ契約をさせてもらってる身としては、去年より覚悟を持って試合に挑んでいて。
チームは去年も上位につけていて、すごく力のあるチームで、リーグが始まってから8試合ぐらい負け無しで。
ただ、内容は全然圧倒している訳ではなかったので、みんなすごく集中して練習もしていたし、それが結果に繋がったんじゃないかなと思っています」
「優勝は本当最後まで分からなくて、最終節の1つ前の試合で勝ったことがすごくデカくて。負けたら優勝は難しい状況だったので。
その試合で上位のクルビっていうチームに勝ったんですけど、そのチームと前期で当たった時は0対1で負けていて。
相手は途中で1人退場して10人で、試合を優位に進めているけど中々点が取れない中、もうラストワンプレーで、相手のPKで失点したんですけど。
そのPKを与えたのが僕で。
人数多いし、ホームだったし、なのに自分がPKを与えて負けてしまったっていう。自分の中では忘れられない試合が前期にあって。
同じ相手に2回も負けるなんて絶対に嫌だったので、個人的にはチームメイト以上に燃えていて、その試合を勝てたのは、自分の中では今シーズン1番嬉しかったです」
一方で、シーズン終盤の昇格プレーオフでは、決勝戦で敗北。最後の最後で悔しさが身に染みる結果となった。
「プレーオフ決勝の1stレグでは0対0で、アウェイでのドローは悪くないかなと思うんですけど…。
その時も相手が前半で退場して、僕たちが数的優位で試合を進めていたんですけど、中々点が取れなかったので、すごく勿体ない試合だったなって。
2ndレグはホームだったので、負ける気はしなくて。絶対にホームで勝って、昇格を決める気持ちで挑んだんですけど、前半の立ち上がりに失点して、続けて2失点して。
試合の流れ自体が悪かった訳ではなかったんですけど、1つの隙を見せたところで失点してしまって。
ただ、そこからボールも握れていたし、攻撃にも手ごたえがあって、2点取れたのはすごく良かったんですけど。
チャンスがあった中で決め切れなかったのがすごく悔しいなと、振り返って思います」
試合開始早々に失点し、一時は2点差をつけられたものの同点に成功。しかし、またしても延長後半にネットを揺らされ、2対3で試合は幕を閉じた。
「3失点目、決勝点を相手に与えた時も、自分がコンタクトに負けてしまって失点したっていうシーンだったので。
そこは自分の中で後悔してる部分で。あそこで踏ん張れなかったのが、すごく悔しくて。負けたこと以上に自分のプレーでしのげたんじゃないかなって。
流れはワンプレーで変わるし、チャンスにもピンチにもなることを感じた、忘れることのない試合でした」
「毎年毎年ステップアップできるように」
大学卒業とともに海を渡り、フィンランドで過ごした2シーズン。紆余曲折を経つつも、着々と歩を進めてきた。
一方で、今後のキャリアについてはー。
「もちろん今年より上のリーグであったり、もっと上のレベルでやりたいと思っているので。
去年、今年と3部でプレーして、2部でプレーしたいっていう気持ちがあるので。昇格プレーオフに勝っていれば、このままJIPPOでプレーしたいなと思ってたんですけど、負けてしまったので。
もちろんJIPPOに残ってプレーしたいって考えているんですけど、来年はフィンランド2部でプレーするのが目標です」
「年も若くないので、早くもっと上のリーグでやりたい気持ちがあるので。来年は絶対2部でプレーして、その次はもっと上のリーグで。
毎年毎年ステップアップできるようにっていうのが、自分の中で考えているキャリアです」
(2023年11月17日取材)