葛藤の末のラトビア復帰、最初の数試合で「心を掴めた」
新天地では、プレシーズンの時点からスタメンに名を連ねる機会に恵まれた。傍から見れば順風満帆なスタートとなったものの、好況が長く続くことはなかった。
「開幕して数試合はスタメンや途中出場で試合に出させてもらったんですけど、怪我をしてしまって。1カ月くらい離脱している間に、ポジション争いをしていた選手がめちゃめちゃ活躍したんです。復帰後には地位が確立されていたので、中々試合に絡めない状態が続きました」
怪我は一度治ったものの、ぶり返すことも多く、コンディションも今一つの状態が続いた。「無理やりやっている」部分も否めなかったという。
苦難の日々は、クラブにとっても本望ではなかった。「自分はクラブの”売りたい選手”だったので、クラブも現状に納得がいっていなくて。リトアニアの他クラブへの移籍だとか、レンタルで2部に行って来季に備えるだとか。色々な話し合いが行われました」
ただし、視野に入れた選択肢はあくまで1部リーグ。代理人にも「1部に行きたい」と伝えたところ、昨季の活躍に注目しているラトビアのクラブの存在が知らされた。
移籍先を「そこ」にしようかと話していた最中、再びコンディションは上向きに。それに応じて出場時間も伸び始め、ダイナヴァに残る選択肢にも魅力を感じ始めた。
「『どうするどうする』と考えているうちに、ラトビアの市場が締まる1~2日前になって。選択を迫られたときに、ダイナヴァが更に戦力を補強する、しかもアタッカー陣を4人くらい獲るという話を聞きました」
葛藤の中で耳にしたチームの補強計画からは「戦力として見られていない部分が大きい」と感じ取れた。
「外に出てアクションを起こさないと『選手として終わるな』と。そこで、自分を欲しがってくれているFSイェルガバに行くことを決断しました」
長考の末に思い定めたシーズン途中の退団と移籍。ある種の危機感を感じつつ、再びラトビアの地に戻ってプレーすることを選択した。
イェルガバでは、入団から間もないFKリエパーヤ戦でデビューを飾り、初戦からチームの勝利に貢献した。「自分がイェルガバに来て最初の試合で、上位のチームにスッと勝てて。2試合目ではPKも獲得できたので、プレーの”質”を見せられたと思います」
五味選手の加入もあり、クラブは今季初の2連勝を達成。加入直後の数試合で監督やサポーターの「心を掴めた」感触もあり、それが今の連続スタメン出場に繋がっているという。