V神戸下部から”異国の地”ラトビアへ「上を目指せるからココに来た」【五味 郁登選手インタビュー|前編】

五味 郁登選手
五味選手Instagram

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「違う競技かと思った」現地で感じた日本との違い

晴れてスタートを切ったラトビアでのプロ生活。チームにはプレシーズンから合流し、早々から手応えを掴む一方で、日本国内との「違い」も痛感した。

「プレシーズンを過ごす中で十分”やれる”と感じましたし、自信のあるスピードでも負けはしないと感じました。ただ、日本では1~2歩置き去りにできたところが、半歩しか置いて行けなかったり。日本と海外の”フィジカル”の差を実感しました」

現地のプレースタイルにも強く衝撃を受けた。「ラトビアですごく感じたのは”縦への早さ”。横パスや遅攻を駆使する日本とは違って、ラトビアは常に縦パスのイメージ。日本人の方が巧いパスを巧くさばけますが、ラトビアでは『それ取れへんやろ』ってパスも拾って、ゴールまで持って行く。雑なパスを雑なままゴール前まで運ぶ能力がありますね」

よくウォーミングアップで行われる「ロンド」にも両国の違いは顕著に表れる。

「日本ならパスがずれたら出し手が謝って”鬼”になりがちですが、ラトビアではボールを手放した瞬間から”受け手の責任”。自分のパスがずれていても『受け手の技術不足やろ』って感じですし、味方がミスをしたときも文句や罵詈雑言が先に出てくることが多いです。ラトビアに来て『今まで違う競技をやってたのかな』と思いました」

ラトビアで求められた「適応力」、多ければ年3回「環境が変わる」

プレー面に加え、ピッチ外での「違い」も多岐に渡る。北欧に位置し、積雪の多いラトビアでは、5月あたりまでは人工芝、初夏から10月前後までは天然芝でプレーするサイクルが主流となっている。

「ただ、天然芝と言っても”雑草”に近い環境のチームもあります。また、1~2月は屋外でのプレーが難しいくらい雪が降るので、お金があるクラブはトルコやドバイなどの温かい地域に行って、あまりお金がないクラブは近隣国でドーム内のピッチを使ってキャンプを組むことが多いです。なので、多ければドーム・人工芝・天然芝の3つの環境に適応する必要があるんです」

一方で、他の欧州諸国に目を移すと、グラウンドは整っているものの、ロッカールームやシャワー室などの「裏側」は整備されていないことが多いという。

「それが日本との”差”なのか、ヨーロッパの”文化”なのかは分からないです(笑)日本で実際にプロを経験していないので、自分が知っている範囲にはなりますが、環境面は日本の方が良いですね」

私生活では言語面の苦労もあった。ラトビアでは公用語のラトビア語に加え、多くの国民が英語を習得しているが、渡航直後の英語力はほぼ皆無。

「高校でも英語の成績は1~2とかで、本当に英語が話せない状態で…。苦手意識があるうちは身に入らないので『行ってからでいいや』という気持ちでラトビアに行きました。最初の3カ月くらいは何を言われても分からなくて”地獄”みたいな感じでした」

決して語学を勉強しに来た訳ではないため、進歩は緩やかだったものの、合間を縫っては死に物狂いで英語を勉強した。

「3カ月くらい経つと『喋れないけど言っていることは分かる』という状態にたどり着けました。そこからも半年近くかかりましたし、まだまだ拙いですけど、今はコミュニケーションを取る上で問題はないです」

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