「性格的には日本人とすごく違う」
大学3年次から継続していた英語の勉強が実を結び、指示の理解や英語話者のチームメイトとのコミュニケーションには、大きな苦労を要さなかった。
一方で、国内の公用語であるセルビア語の習得には、2年半近くの時間がかかった。
「モンテネグロ人は”モンテネグロ語”って言うんですけど、セルビア語と一緒なので、最初の1年間はセルビア語の教科書を買って、文法であったり簡単なサッカー用語を勉強していました。
今はセルビア語でも、だんだん日常会話もできるようになって、英語は喋れるけどセルビア語が分からない選手がチームメイトにいるので、自分がセルビア語で聞いてその選手に英語で伝える、みたいなこともよくあります」
セルビア語を習得するにつれて、徐々にピッチ内でも変化を感じ取るようになった。
「単純にチームメイトと仲良くなれますし、仲良い選手には無意識のうちにパスを出したり、やっぱりピッチでも繋がるかなと思うので。
『言葉が分かんないから、こいつ違うプレーしてるよね』って思われることがなくなったり、人間関係が良好になったことは、すごく感じますね。
ただ、悪口も分かるようになったので、試合中には『自分に結構言ってるな』っていうことも気づきます」
一方で、ピッチ外では「睡眠」に悩まされることも多かった。
「2部でプレーしていた時にはチームメイトに日本人がいて、その選手と2人で生活していたんですけど、チームに用意して頂いた家がすごく狭い家で。
自分の問題なんですけど、誰かが近くにいたりすると、あまり良い睡眠が取れなくて、当時は本当にきつかったです。
去年も同じような狭い部屋で、ドイツ人の選手と住んでたんですけど、その選手はイスラム教信者で、祈りをするために毎朝5時頃に起きるので、その選手が起きるたびに、自分も起きてしまうみたいな状況でした。
今年はオーナーが、自分のこともプレーも認めてくれて、1人部屋を用意してくれたんですけど、それまでは自分にとってすごく辛かったです」
練習外では、モンテネグロならではのエピソードも。
「人間性の違いで言ったら、自分の持ち物を気がついたら周りの選手が使っていることがよくあります。
例えば、練習にバナナとかを持って行ったら、気付いたら半分なくなっていたり、サンダルも他の選手が履いていることがありますし。
サッカー選手としか関わってないので、あまり一概には言えないですけど、文化の違いはすごく感じました。
あと、お菓子を食べさせてくるっていうのもあって。
自分が買った物を人に分け与えることがよくあって、それを断ると頑張って食べさせようとしてくるので、最終的には自分が負けて貰うことが多いです。
そういう面では、すごく優しいって言うのか分からないですけど、性格的には日本人とすごく違うと思います」